本の林:「現代経済学の直観的方法」長沼伸一郎
【連想する本】 ■ 「なめらかな社会とその敵」鈴木健、ちくま学芸文庫 ■「大衆の反逆」オルテガ・イ・ガセット、筑摩書房
この本は、経済の仕組みを理解するうえで中核的な概念や考え方を理解したい人に向けて書かれた経済学の解説本です。
経済の概念や外しちゃいけないポイントを非常にわかりやすく解説していて、内容もさることながら著者の日本語運用力にただただ脱帽です。 これほどまでに明快な文体で伝えたいことを端的に描写している書籍は稀なんじゃないかな。
経済について勉強したい人はまずこの本から入ってほしいです。
ただ、この本の神髄は最終章の『縮退』という概念を導入した現代経済の描写にあります。
著者は第8章までで読者に対してたくさんのお土産(経済学の重要な知識・概念)を持たせてくれた後、第9章で自分の現代経済に対する考えを披露しています。
これがこの本のオチになっているのですが、まあ圧巻です。
冒頭にこの本を「経済学の解説本」と表現しましたが、じつは解説本のふりをしていながら最後はきっちりと著者の考え、主張を提示している学術(思想?哲学?)本なのです。
第8章まで書きっぷりからそんな感じを全然出してなかったのにいきなり著者の主張が出てきて、実は前の章まではこの最終章を書くための壮大な前振りだったということに気づくという本の構成(学術的な色合いが強い本はたいていこういう構成なんですが、なぜかこの本では新鮮に感じました)には驚きました。
第8章までにもらったお土産の振りが効いていて最終章の主張が染みる染みる。
まだ読み終えたばかりでまだ自分の中でこのインプットをうまく取り込めてないです。
少し時間をかけてアイデアを発酵させて何か出てきたらまた書きますね。
とにかくおすすめの本です。
