【連想する本】
■ 「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」 ルイス・ダートネル、河出書房新社
■ 「一般システム理論」 フォン・ベルタランフィ、みすず書房
まだ読んでいる途中ですが、ご紹介。
最近、ひょんなことから戦争における「兵站」に興味が湧いてきまして、この本を買いました 笑
最近こういう400ページ超えの文庫本を手に取る機会もなかったので、久々に文庫本を集中して読める心境になったこと、嬉しい限りです。
で、この本は、調べればすぐに見つかったのですが、不思議なことに、それ以外のまともな本が出てこないのです。
ミリヲタって、それなりの数いるとは思うのですが、こと兵站に限って言うと、資料が少ない。
兵站ほど戦争の行方を左右するものもないほど重要な項目だというのに。。
少し他の文献を探し回ったのですが、どうにもまとまった本や資料らしきものが出てこなかったので、おとなしくこちらの本を購入させていただいた次第です。(バチェラー・小柳津さん風)
3章終盤まで読んだ感想:
『そうだ、ヒトって、「人間」の前に「生物」だった。』
『あ、馬って、「道具」の前に「生物」だった。』
これに尽きます。
我々生物は、腹が減っては戦もできぬ、というか、ただそこに立っているだけでも腹が減るような、非常にどうしようもない存在だった。(それどころか、座っていても、寝ていても腹が減るというどうしようもなさ。笑)
このことを考えると、何千、何万、何十万という兵や馬匹を一箇所に集めたとき、ただ「彼らがそこに留まっている」という状態を維持することに、莫大な労力がかかってしまう。
ただ「そこにいる」だけなのに、何もケアしなければ、立派な兵士や馬がバタバタと倒れていく。
それほどまでに、私達は不安定な存在なのだと思い知らされます。
戦争は、そんな単純だけど非常に困難な課題に正面から向き合い、対処しなければ敵と戦う前に負けてしまう。
どのように前線にいる兵士の食糧や武器を補給するか。
どのような制度を構築すれば、この問題を構造的に解消できるか。
動員する兵士の数が増えるに従って、この課題の難易度が飛躍的に上がっていく。
戦争自体は忌むべきものではあるけれど、戦争で遭遇するこの課題は、なにか我々の根源的な課題であるように思われる。
やはり、この本を思い出さざるをえない。
現代の先進国では、飲食可能な食糧が大量に廃棄されるほどの状況ではあるものの、それは今の社会制度と技術という下駄を履いてやり過ごし、一時的に忘れているに過ぎない。
私達は、今での大昔と変わらず、非常に不安定な存在なのだ。
たった数日、補給を絶たれればたちまち体調に支障をきたし、数週間で瀕死状態に陥る。
こういう「非平衡系」に絡む考え事をすると、決まって連想する本がある。
■ 「一般システム理論」 フォン・ベルタランフィ、みすず書房
小難しい専門書(というには、捉えどころがないのだけれど。)というタイトルだけれど、なぜが数日で読めてしまった本。
いつかこのブログで紹介したように思っていたのですが、まだ書いてなかったみたいですね。
いつか書きます。いつか。
それにしても、兵站って・・・
我ながら、今回の選書は渋すぎる。
- 作者: マーチン・ファンクレフェルト,Martin van Creveld,佐藤佐三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 232回
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追記:
「自衛隊 × 後方支援」でいつしか国会が騒いでいたような記憶がありますけど、あのとき、共産党の志位さんが「自衛隊を兵站部隊として派遣することの意味、わかって言ってます?」的なことを安倍ちゃんに質問してたように思いますけど、ようやく彼の言わんとすることが(ぼんやりとでしょうが)理解できるようになってきました。
逆に、「兵站部隊が完全に機能する軍」って(とりあえず機械化が完全には進んでいないこれまでの戦争では)それだけで相当強力だ、ってことも理解できるようになりました。
安倍ちゃんはともかく、自民党の有識者は、同じ事象をそういう側面(兵站の実戦経験を積む機会として)で見ていたのかもしれませんね。(この見方、良心的過ぎか?)