【連想する本】
■ 「里山資本主義」 藻谷 浩介・NHK広島取材班、角川新書
この本は、「結い2101」という一風変わった投資信託を運用する鎌倉投信株式会社の創業者で取締役の新井和宏さんが書いた本です。
全体を読んでから振り返ると、運用会社のビジョン・理念を紹介するような、広告的な面が強めの本かな、という印象。
ただ、書いてあることはとてもまっすぐで明るくてまっとうなので、とても良い内容だとは思いました。
うーん、私が好きなタイプの本なんですけどねぇ。
何か引っかかる。。
なんでだろう。。正直、まだ整理ができていません。
さて、この「結い2101」という投資信託ですが、何が変わっているかというと、その運用方針が「いい企業」に投資するということ。
・・・わかりました。「いい企業」ですね。では、その「いい企業」というのはどのように選んでるんでしょう?
というと、
「主観」
だそうだ。
何事も「客観的なデータに基づいて」と言われるご時世で、なかなか新鮮です。
子曰く、投資先に出向いて現場の視察や代表と面談を通じて、信頼できる企業であれば投資する、だそうです。
信頼できる企業には、共通して「三方よし」ならぬ「八方よし」の特徴を持っているとのこと。
その中身はというと。。。
長くなるので、この続きは鎌倉投信のHPや、この本で読んでいただければと思います。
全体的な精神性というか、「一風変わった」の方向性はこの本に似ている気がします。
■ 「里山資本主義」 藻谷 浩介・NHK広島取材班、角川新書
「持続可能な〜」で印象に残った一節をご紹介。これは東日本大震災のとき、クロネコのヤマトグループに起こった出来事。
震災直後、ヤマトは、現場の社員が自らの判断で配達と給油を行い、ガソリン不足の中、次々と送られてくる救援物資の配達を続けました。宅急便ではない荷物を会社所有のトラックを使って運ぶのですから、業務命令違反ととられてもおかしくありません。しかも、当時は路面が崩れていた可能性も十分あり、危険性も高かった。本社が現場の社員に配達を止めさせたとしても、やむをえない状況です。
しかし、本社がとった行動はその逆でした。現場の社員の行動を知った本社は、これを全社的な活動に広げるために直ちに「救援物資輸送協力隊」を組成したのです。
社員が自主的にしていることであれば、もし事故が起こったとしても、労働中ではないために労災にもなりません。だから、本社は現場社員の救援物資の配達を明確に「業務」と位置づけ、自衛隊と協力する形で物資輸送を続けたのでした。
現場の社員の方の行動も本社の決断も、私が偉そうに論評めいたコメント付けるのは失礼ですので控えます。
とにかく、印象に残る話でした。
通しで読んで、今もきっちり信念持って仕事している人がいるんだ、ってことに嬉しさを感じる反面、私の視野の狭さを思い知らされた心境になりました。
私はどうして今の人たちを一括りに「自分の利害だけに関心をもつ冷たい人たち」とレッテルを貼っていたんでしょう?
今の人たちを一括りにしてレッテルを貼って一般論としてモノを言うというのは、今までお世話になってきた人たちの顔を想像しながら書いていないということ。
まだまだ、人間ができていない証拠。
そんなことを思いながらめくった最後のページ。
そしてこの最終ページが、今後一番記憶に残るかもしれない1ページ。
本書籍は、鎌倉投信およびその取締役資産運用部長である新井和宏による、投資家向けの情報提供を目的としたもので、投資信託の勧誘や販売を目的としたものではありません。
という文言から始まる但し書き。
普通は気にも留めないことなのですが、今回はなぜか、テレビドラマの「このドラマはフィクションです」よりも、映画のクレジットよりも、キャバ嬢の去り際よりもビジネスライクな印象。
そんなわけで、まだこの本をどう処理して良いのか決めかねています。