【連想する本】
■ 「大人の流儀」 伊集院 静、講談社
■ 「続・大人の流儀」 伊集院 静、講談社
■ 「33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金をゼロにした理由」 午堂 登紀雄、日本経済新聞出版社
この本は、何度かこのブログでも登場していますが、ここで改めて紹介させてください。
この本は、日経新聞に掲載された伊集院 静さんのインタビュー記事で知りました。
たしか、その記事を読んでピンとくるものがあったので切り抜いてスクラップブックに貼り付けたまま忘れていたのですが、しばらくしてから何かの弾みで思い出して、この本を買った、という経緯があったような。。。
で、読んだら良いわけですよ、これが。
この本は、池波さん、友人の方、編集者の方の鼎談(になるのかな?)を本にまとめたものなのだろうと思います。
全て口語調で書かれていて、池波さんが昔気質の男の姿を語るという内容。
まぁ、乱暴にレッテルを貼れば「説教本」でしょうか?笑
ただ、説教本と言っても池波さんの話は、最初から最後まで物腰柔らかな口調で、毒気は全くありません(少なくとも私には)。
この本の印象だけですが、池波さんは自分の考えを人に押しつけるようなことはしない、とても紳士的で、頭が柔らかい人だったんじゃないかな、と思います。
この本は、鮨屋での振る舞い方から始まります。(この初手は最近の本にないだろうな 笑)
最初の見出しが「ちゃんとした鮨屋は“通”ぶる客を軽蔑する」です。
だから、「客はシャリなんて言わずに普通にゴハンと言えばいい」のだとか。
そんな話から始まり、仕事、ファッション、蕎麦、天ぷら、家族関係などなど、あらゆることについて、池波さんが生きた時代の「男の在るべき姿」を語ります。
私、幼い頃は、自分も大人になったらこういう「芯」ができるものだと思っていたんです。この本で「幼い頃にそんなことを思っていた」ということを思い出し、そして、今の自分のあまりの「芯のなさ」を考えて情けなくなりました。
恐らくですが、私の場合は目標とする「誰か」を追いかけないと、こういう芯は自分にインストールされないと思います。
で、振り返ると「私の在るべき姿」として目標となる人っていなかったなぁ、と。
いや、個々の分野で尊敬する人はたくさんいます。
それはそうなのですが、でも、自分の根幹になる「在り方」について目標にしたいと思える人がいなかったなぁ。
それに気付かせてくれました。
だから、今の私にとってはかなり重要な本です。
この本をきっかけに、
「大人の流儀」 伊集院 静、講談社
「続・大人の流儀」 伊集院 静、講談社
「別れる力 大人の流儀 3」 伊集院 静、講談社
を読んだり、オーディオブックで聞いて「自分磨き」の参考にしています。(伊集院さんは池波さんより頭が固いかなぁ。好きですけど。)
ここで一節ご紹介。「チップ」は前の記事で何度か紹介したので、今回は別の一節。といっても、今回も「小遣い」の話ですが 笑
結局、税金だよね。サラリーマンの場合、否応なく全部引かれちゃうわけでしょう、頭から。 それで社会全体としては非常に余裕が出来て、生活水準が上がって・・・・・・というなら、それは結構なことだけれども、それにしては現代の人たちにあまり生き生きとしているのがいないんじゃないの。
だから、いまはもう大変な共産主義の国ですよ、日本は。自由主義社会であると言いながら共産制の国ですよ、ぼくに言わせれば。全部、たいして上下がないんだから。社長と社員との上下がそんなにないんだから。
せいぜい、テレビが一つあるところが三つある、3LDKのところが7LDKである、という違いであってね。生活自体は、食べてるものでも同じなんだから、社長でも社員でも。これをよく言えば貧富の差がなくなったということになるわけだが、見かたを変えて言うと、
「みんな貧乏になっちまった・・・・・・」
ということでもある。
この本が最初に出版されたのは昭和56年。
それから36年のいま。
格差社会と言われているけれど、物質的なものだけを大局的に見ると、金持ちとそうでない人の差は「せいぜい、テレビが一つあるところが三つある、3LDKのところが7LDKである、という違い」で変わっていないように思います。(私も何度か考えたことがあったので、「ですよねぇ!」と心の中で相づちうちました。)
だから、36年前の「みんな貧乏になっちまった」という言葉はとても印象的でした。
そんなこんなもあってなのか、今は、モノより経験に時間とお金を使うことを是とする価値観が広がっているようです。
「33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金をゼロにした理由」 午堂 登紀雄、日本経済新聞出版社
私も、この考え方は納得です。
たぶん、昔から「豊か」ってのはこういうことなんだろうと思いますが。