本の林:「日本社会のしくみ」 小熊 英二 著、講談社現代新書
【連想する本】
■ 「社会を変えるには」 小熊 英二、講談社現代新書
■ 「不安な個人、立ちすくむ国家」 経産省若手プロジェクト、文藝春秋
この日本社会にある「しくみ」がいまのような形になった経緯を、明治期まで遡って明らかにした一冊。豊富な情報、冷静な分析、わかりやすい文章で現代社会の大きなストーリーを示してくれた、そんな本でした。
いまの日本で起きている雇用、教育、福祉、地域社会に関する事象について、「なぜ我々は社会問題として認識しているのか?」という一段深い洞察を与えてくれます。
そして、時代時代の官僚の人たちによって打ち出された政策が、どのような現状認識に基づいて、どのような意図をもって世に問いかけていたのか、について今までよりも深く(=というよりも慎重に)考えるべきであることがわかりました。
これを読むと新聞やテレビやネットでもっともらしく語られている言説が如何に表層的で断片的なものかが多いことか。。
久しぶりに社会学系のしっかりボリュームのある本を読みましたけど、目の前の生活に追われて狭くなった視野を一気に広げてくれる良い本だったのでサラッと読めました。
いま我々はどこにいて、どこに向かおうとしているのか?
そんなことを考えさせられるし、そんなことを漠然と不安になった人は参考にすべき本です。
ありがとうございました(脱帽)