いいかげん日記

思いついたことをただひたすら書き殴るいいかげんな日記です。

本の林:「琉球王国」 高良 倉吉、岩波新書

本の林:はじめに

 【連想する本】

■「「接続性」の地政学 上」 パラグ・カンナ、原書房

 

沖縄に行って、今まで行ったことがある国内の地域の文化とは明らかに異質なものを感じたので、那覇市内のジュンク堂(大きいですよねぇ。うらやましい。)に行って早速買って読んでみました。

 

かつて存在した琉球王国について、中国、日本やその他の国々の関係性に着目しながら、その歴史と栄枯盛衰を描いた本でした。

この本は、著者の沖縄(琉球)に対する情熱が文章を通じてビシビシ伝わってくるのが印象的でした。後半の辞令書について考察している章は(私にその情熱がないぶん)読んでいて辛かったけど、前半部分は中国文化圏の貿易のハブとして機能した琉球がわかりやすく描かれていたので臨場感があってとても面白かった。

 

それにしてもユニークな歴史をもっている地域です。

日本も相当ユニークな歴史だと思いますが、沖縄の歴史はさらにユニークに見えます。

琉球は、あらゆる国との貿易で栄えた国ということでしょうか。今のシンガポール的な位置づけなのかな?

で、琉球がなぜ栄えたか、というと中国の貿易政策が関係していたそうです。

中国が貿易について抑制的な制度を維持していたからこそ、中国の人たちにとって外国の物品を手に入れるルート(反対に、中国国外の人たちにとって中国の物品を手に入れるルート)が限定されて、需要の受け皿として琉球が活躍できたそうな。

だから、中国文化圏内での中国の力が弱まる16世紀入ると、琉球の最盛期は終わってしまったようです。

国が栄えるには、それなりの前提(仕組み、構造)があって、その前提がなくなるとたちまち落ち目になるってことですかね。

 

ここで連想するのは、この本です。

「「接続性」の地政学 上」 パラグ・カンナ、原書房

 

時代が変わり、使われる用語が変わっても、ここら辺の原理原則は変わらないと思います。

うまくいっている国や地域は、(もちろん個々の努力もあるでしょうが)現在の社会構造の中である程度「自然と」うまくいく位置にいるのでしょうから、うまくいっている前提条件を分析することが大事なのでしょうね。

 

 

また、この本の最初には、沖縄県の独自性をテーマに講演して叩かれた人の話(舌禍事件)があり、驚きました。

これは第一次大戦の前の話ですが、時代が変われば人の価値観も変わりますね。