【連想する本】
「街場の大学論」 内田 樹、角川文庫
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の社長である増田 宗昭さんが社員に向けて書いたブログの内容を抜粋してまとめた本です。
それこそ、私が蔦屋書店を徘徊していたときに、たまたま手に取った本の横に積まれていた一風変わった装丁の本がこれでした。
思わず「あれ!?まさか、背表紙付け忘れたまま出荷しちゃったの!?」って言ってしまいそうな装丁です。
最初に手に取った本は買わずに、気付いたらこの本を買っていました。完全にジャケ買いです 笑
でも、背表紙がないからこそ、実際にこの本を開くと、パタン、と気持ちよく開いてくれて、中の写真がページを跨いでも写真全体がちゃんと綺麗に見える。
ページ内で自由気ままなレイアウトがされていて、ページをめくるときに「次はどんなページだろう?」というわくわく感があって、読んでいてとても楽しかったです。
誰の発案かわかりませんが、とてもグッドです。
内容は普段から考えていることや日常での発見を素朴な文体で飾らずに書いているものでした。
私、増田社長のことは何も知りませんでしたが、この本を一気読みして、「誠実な人なんだろうなぁ」という印象を持ちました。
そして、「会社が続く(お金が稼げる)ということは誰かの役に立っている証拠」という揺るぎない哲学というのか、確信というのか、思想というのか、が根底に流れているのを感じました。
こういう静かだけど力強い文は、心穏やかに読んでいられます。
ただ、心に刺さる一文ってのは無かったかなぁ。。
まぁ、ブログ本だから仕方ないか。
あと、増田社長の後継者は大変そうだなぁ、という印象。
この会社に限らずですが、創業者から二代目へのバトンパスはしんどいですよね、きっと。
たぶん、ブログに書いてあることこそがCCCをここまで大きくした根幹の思想なのでしょうが、こういうものってそう簡単には人にインストールできませんからね。
本から受ける印象が原因なのか、それとも増田社長の若かりし頃を回顧した話が原因なのかよくわかりませんが、なんとなく、内田樹さんの本を思い出しました。
「街場の大学論」内田 樹、角川文庫
この本を思い出すときは、だいたい「私は君たちと縁を切る」の中の一節が頭に浮かびます。
一九七三年の冬、金築君は太股に五寸釘を打たれてショック死し、蜂矢さんは逃亡生活をしていた。私は毛皮のコートを着た青学の綺麗な女の子とデートをしていた。どこに分岐点があったのか、そのときの私にはわからなかった。いまでもよくわからない。
こういう話になるとまた、私の中でお決まりの本が出て来ますが、それはまた次の機会に。